好きな人には好きになってもらいたいじゃん。







休み明け、鏡の前でしっかりと確認。


髪は丁寧にブローしてサラサラだし、新しく買った淡いピンクのリップもいい感じ。

シャツにしわもないし、リボンも曲がってない。


今日も完璧。

最高のわたしだ。


よし、行こう。


気合いを入れて、家を出る。

家の前にはすでに廉が立っていた。



「おはよう、廉」

「はよ」


挨拶をしてすぐに廉の隣に並ぶ。

なんだか、恥ずかしい。


関係が変わるだけで、いつもの風景なはずなのに違って見える。



「胡桃」

「ん?」

「かわいい」

「っ、うん。ありがとう」


わたしを見て微笑む廉に、朝から熱が大爆発。

ほんと直球に言ってくれる。


いままではまったく言ってくれなかったのにね。



わたしのストレートで下ろしている髪に優しく触れる。

もう、あざとくかわいいアピールも必要ない。


廉が自然体のわたしを好きでいてくれるから、わたしは自然体で廉の好きなわたしでいる。



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