好きな人には好きになってもらいたいじゃん。

ほんと、廉はわがままだ。


「褒められたら素直にうれしいよ」

「でも、俺のためだろ」

「廉のための努力を周りにも認めてもらえてるんだよ」

「じゃあ、俺だけでいいだろ」

「廉がいっぱい褒めてくれるの?」

「うん」


あ、やばい。

コクリと素直に頷いた廉がかわいい。


いまきゅんときたよ。



「廉が褒めてくれたら100倍うれしい!」


想いを伝えあってから、廉がすごく素直だからわたしも素直になれる。

笑顔を向ければ、勢いよく引き寄せられてそのまま廉の腕の中におさまる。



「……やば」

「ちょ、ここ外……」

「うん、少しだけ」

「だめ」



廉の肩を押して離れる。

拗ねてるし。


わかりやすく、不機嫌な顔をする廉。



「……ふたりのときに、ね?」

「……わかった」


恥ずかしいながらも、伝えるとあっさり受け入れてくれた。

それに安心したのにすぐに、廉は手を繋いで歩き出す。


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