好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
いっくんの隣に行こうとしても、廉が邪魔をしてくる。
こういうところがいじわるなんだよ。
空気読めないんだよ。
わたしがいっくんのこと、好きだって知ってるくせに……!
「いたっ」
「くるちゃん、どうかした?」
立ち止まるわたしに、すぐに声をかけて後ろに下がって来てくれたいっくん。
そんなところにきゅんとしてしまう。
やっぱりいっくんは優しい。
「目が痛くて……」
「ちょっと見せてね」
片手で目を押さえていたその手をいっくんによってとられる。
いっくんに触れられるだけで、ドキドキが止まんない。
至近距離で真剣な表情を向けられると、顔が熱くなるよ。
「んー、なにか入っちゃったのかな?瞬きできる?」
「うん……あ、もう大丈夫かも」
「そっか。よかった」
数回瞬きをしてから、そう言うと笑顔になるいっくん。
やっぱりかっこいい。
この笑顔が大好きだ。
そして、これでいっくんの隣を取り戻すことができた。