好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



その笑みはなんだかいやな気分。

廉とわたしを冷やかさないでもらいたい。

むっとして唇を尖らせた。



「いじめられてたの」

「いじめてねぇよ」

「うぅ……」


すぐに否定する廉はやっぱりいじわるだよね。

これはいじめられてるよね。


視線を少し下げてから、斜め前に座る町田くんを潤んだ瞳の上目遣いで見る。


町田くんはハッとしたように廉を指差した。




「廉が悪い!」

「は?」

「月島がかわいそう」

「はぁ!?」



町田くんはわたしのことをかばってくれる。


このテクニックは雑誌やわたしの好きなタレントのブログに書いてあった。

だいたいの男の子は、こうすれば味方になってくれる。


そう、だいたいは……。




「月島をいじめんなよ。こんなにかわいいのにさ」

「町田くん……!」

「お前、騙されてるぞ」

「廉、ひどい……」

「おい廉!」



こうやって守ってくれたりするの、いいよね。

かわいい女の子、守ってあげたくなるような女の子を勉強して実践した。




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