好きな人には好きになってもらいたいじゃん。


「廉……」

「だめ?」

「……だめじゃないけど」

「そ」


繋がれた右手が熱い。

廉ってけっこうこういうことするタイプだったんだ。

あんまりベタベタしないタイプだと思ってた。


ほら、みんなの前ではクールぶってかっこつけてすかしてるから。



廉は恋人っぽいことを普通にやっちゃうんだね。



そのまま学校へ行き、昇降口で一度離れたけどすぐにまた繋がれる。



「繋がないとだめ?」

「離さないとだめ?」

「ん~……」


そう聞かれると難しい。

でも付き合ってすぐにこうして手を繋いで登校なんて浮かれすぎじゃない?



「牽制だから。胡桃は俺のって周りがわかるまでは続ける」

「具体的にはいつまで?」

「胡桃に男が寄り付かなくなるまで」

「意味わかんないね」

「苦労してんだよ」



呆れたようにため息をついた廉に、首を傾げる。

ばかにされた?

まぁ、もうこれくらい慣れたからいちいち怒らないけど。



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