好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
八つ当たりなのに、理不尽にキレられているのに、怒らずにどうしようか考えてくれる姫野先輩。
知ってるんだ。
姫野先輩はいい人だってこと。
いっくんのこと、本気で好きなんだってこと。
わたしはもう、素直に認められるんだ。
「ふっ、すみません。いじわる言いました。ちょっと反応見たくて」
「もうっ……でも、そんな胡桃ちゃんもかわいいね。いたずらっこな笑顔に、思わずきゅんとしちゃったよ」
ばかなのかな。
と、先輩なのに思ってしまった。
でも、そうやって笑顔で許せちゃうくらいの心の広さは姫野先輩のいいところ。
先輩の核の部分で、わたしにはなくてちょっとうらやましいもの。
「けど、いまは妥協とかそんなんじゃなくて本当に廉だけなんです。あれだけうらやましくて嫉妬でむかむかしてた気持ちがないんです」
「そうなんだ」
「いままで、ひどい態度とってすみません。嫉妬ばかりで敵意とか向けちゃって……本当にすみません」
「え、頭上げて!私も胡桃ちゃんの気持ちに気づかずに、自分の気持ちだけで仲良くなりたいって無神経だった」