好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



たしかに、このテクニックで優しくしてくれる男の子はいる。

でも、廉といっくんにはまったく効かないんだ。


廉はこんな感じだし、いっくんは少しも変わらずいつもの優しさで返してくる。

なんでこの兄弟には効かないのかな?


間違ってはいないはずなのに……。




「お前も、それやめろ」

「いたっ……!」

「暴力はだめだろ!」



廉がわたしのおでこを強めにでこぴんしてきた。

けっこう痛くて両手でおでこを押さえ、今度は本気で涙目になる。


そんなわたしにむっとした表情を向けて、席を立ちまだわたしの味方をしてくれている町田くんを引っ張って行ってしまった。



ほんと廉って意味わかんない。

痛いってば……。



「あたしの存在忘れてない?」

「あ、ごめん。忘れてた」

「おい!まぁ、あんたたち見てるのおもしろいわ」

「かほちん~!」



いつのまにかからあげ定食を半分食べ終えているかほちん。

もぐもぐしながらわたしを見る。




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