好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
そう思えるってことは、わたしも成長できたのかな。
すでに制服に着替え終わっている廉は、わたしの手を取り歩き出す。
「廉!」
「んだよ」
「わたしね、姫野先輩見ても大丈夫になったよ」
「そうか」
「廉のおかげだよ。認めたくなかったけど、いまはあっさり姫野先輩のこと認められた」
いいところがあるって気づいても、ひねくれた見方をしていた。
負けたくない気持ちばかりだった。
「廉がいたからだよ」
「ふぅん」
「姫野先輩ともいい関係を築けそう」
「それはどうでもいいけど、俺との時間は減らすなよ」
ねぇ、やっぱり廉ってかわいいね。
わたしのこと大好きじゃん。
「うん。じゃあ、いまからどっか行こうよ」
「んや、帰る」
「え?寄り道したい」
「帰る」
「えー……」
わたしのわがままは通してもらえずに、廉はわたしの手をしっかり握って家に向かう。
繋いだ手が熱い。
頭もボーっとしてふわふわする。
だって、廉と恋人って慣れないもん……。
夢かな。
だって意識もなんだかあいまいに……。
「熱出てること気づかねぇのは、まじでばかだろ」