好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
廉の呆れた声を最後に、気がつけばわたしはベッドにいた。
あれ?
いつのまに……。
「起きたか」
「えっ、」
顔をゆっくりと横に動かすと、ベッドの下に座ってもたれかかっている廉と目が合う。
え、っと……状況がつかめない。
「なんで?」
「ばかすぎて心配だわ。熱、出てる。途中で倒れた」
「あ……」
おでこの違和感を手でたしかめれば、これは冷えピタだ。
熱出てるの気づかなかった。
「ごめん、運んでくれてありがと」
「ん」
「廉は気づいてたの?」
「いつもとちょっと違ったし、手つないだとき熱かったから」
「すごいね、廉は」
「ゼリー食うか?」
「モモ?」
「うん」
「食べる」
体を起こそうとするわたしを廉が支えて手伝う。
ほんと自分でも気づかないってやばいね。
でも、廉といるから余計にわからないんだよ。
熱くなるし、ぼーっとしちゃうから。
熱が出たのも、いろいろあったせいだと思うんだ。
「ほら」
「自分で……」
「俺がやりたいんだよ。胡桃は甘えとけ」