好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
ずるいなぁ。
優しすぎるよ。
そんなの熱が上がっちゃうに決まってるじゃん。
廉の直球の優しさには慣れてないんだからね。
ふわふわしながらも廉の言う通りに、ゼリーを食べさせてもらう。
「廉、優しい」
「胡桃のため」
「ありがと」
「嘘、俺が優しくしたいだけ」
「……熱上がる」
「知恵熱みたいなもんだろ。ほんと胡桃あほ」
「あれ……?優しくない。幻覚だった……」
「ばーか」
ほっぺを両手で包まれたと思ったら、廉の顔が近づき触れる唇。
「現実。忘れんな」
「あ、だめだよ……風邪の可能性ある。昨日、髪乾かす前にうたたねしてたし……」
「いいよ。胡桃の熱は俺がもらう」
「っ、ん」
廉の特別甘い声のあとに、特別甘い口づけをされる。
心配してくれていたと思ったのに、こんなときに深く甘いキスで熱は上がるいっぽう。
ふわふわふわふわ。
だけど、たしかな優しい温もりが、重なる息遣いが、現実だと教えてくれる。
本当に熱を奪われるくらいに熱い口づけに、ただ溺れた。