好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
◆俺の彼女はかわいい
―廉side―
胡桃が俺の彼女になった。
やっと。
本当にやっとだ。
物心つくころにはもうすでに胡桃だけだった。
俺の中心は胡桃で、俺の世界は胡桃を軸に回っていた。
小さいころってのは、好きな子にどう接したらいいかわかんない。
好きな子ほどいじめたくなるってやつ。
俺も典型的なそのタイプだった。
関わり方がわからなくて、でもどうにか胡桃と関わりたくてガキくさい嫌がらせばかり。
1個上の兄は、俺に泣かされる胡桃をいつも慰めてた。
そんだけで胡桃に好かれて正直すげぇむかついた。
俺のおかげであいつは好きになってもらえたんだろ。
俺のせいで、俺は胡桃に嫌われちまった。
それからも素直になれなかった。
小さいころからの想いは膨らんでこじれていったけど、だからこそいまは素直になる。
もう胡桃は俺の。
だれにも渡さない。
よそ見もさせない。
ほかを見る隙なんて、与えてやんない。