好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



「はい」

「食べさせて」

「え?」

「俺はしてあげただろ?」

「それは廉がしたいって……」

「胡桃にしてもらいたい」

「元気じゃん」

「照れてんの?」


ふっと笑えば胡桃は顔を真っ赤にさせる。



「照れてないし。仕方ないからしてあげるし」


ちょろすぎだろ。

かわいいな。


胡桃が俺の言葉に、行動に、右往左往してくれるのがすげぇいい。

俺のせいで胡桃が戸惑ったり怒ったり焦ったりしてるのがうれしい。


俺にしか見せない胡桃の表情が、態度が、最高にかわいい。



「笑わないでよ」

「仕方ねぇじゃん」


胡桃が俺のためだけにしてくれるのが幸せなんだ。

頬だって緩むだろ。



「はい、口開けて」


うわ、やばい。

一口量をのせたスプーンを俺に向けて、顔を覗き込んでくる胡桃と目が合う。


ストレートの髪はつややかで、胡桃を前より色っぽく見せる。


自分で頼んだけど、これは予想以上に破壊力あるな。


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