好きな人には好きになってもらいたいじゃん。


「早く」

「んむぅ……」


意味わかんねぇ声を出しながら、胡桃が食べさせてくれる。

胡桃が作ったものを胡桃に食べさせてもらうなんて、最高だろ?



「ごちそうさま」


ぜんぶ食べて、胡桃を見る。



「ありがとな」

「……もっとがんばる」

「うん、ぜんぶ俺だけに食わせて」


目を逸らし頬を赤く染めながらも頷く胡桃がかわいすぎる。

こんなにかわいい女は胡桃だけだ。


胡桃以外、かわいいって思ったことない。

その前に、胡桃以外の女を見たことがないからわかんねぇけど。


でも、こんなに目が離せないんだから見れるわけないし、見る気もねぇな。

考えるだけ無駄だ。


「そこの水とって」


胡桃に頼めば文句言わずにテーブルの上に置いてあるペットボトルを渡してくれる。



「さんきゅ」


言ってから水をいっきに飲む。

ぬるくなった水は、熱さを一時的にでも抑えてくれない。




「……まだ熱、あるでしょ」


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