好きな人には好きになってもらいたいじゃん。


わたしの視線に廉が怪訝な顔をするけど流しておく。

映画終わったあとも難しい顔してると思えば、そんなことかよって感じだよ。


ほんと廉って変わってる。

昔からだし気にしないけど。



「お腹いっぱいになったし、歩こうよ」


わたしの提案に頷き、廉も立ち上がる。

お会計をしようと財布を出すわたしの前に立つ廉は、わたしが横に移動すると同じように移動して隣に行かせてくれない。



「廉」

「行くぞ」

「ありがとうございました」


店員さんの声を背にお店を出る。



「廉、お金……」

「いらねぇよ」

「貴重なお小遣いでしょ」

「うっせぇよ。黙って奢られとけって」

「でも、映画のチケットも……」

「まじでうるさい」


隣に来たわたしの頭をこつんとする。

頭を押さえて見上げれば、廉はふいっと顔を逸らしどんどん歩く。


そうだ。違うよね。



「ありがとう、廉」


あいた距離をすぐに詰めて、廉の腕に抱きつく。



「……おう」

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