好きな人には好きになってもらいたいじゃん。


なのに、廉がいるとぜったいに見つけられちゃうんだ。

どれだけ難しいところに隠れても、必ず見つけられていた。


廉に勝てたことはない。



「なんで廉はわかるの?」

「なんでだと思う?」

「ねぇ、久しぶりにしようよ」

「は?」

「じゃあ、目つぶって30秒数えてね」

「おいっ、」

「ほら、早く。手でしっかり隠してね。ずるはナシだから」


廉を急かして、しっかりと目を隠したのを確認してから小走りで移動する。

少し離れた大きな木の陰に決めて、しゃがみこんだ。



………27、28、29、30。


心の中で数えたカウントは30になった。

廉が探しに来る。


かくれんぼって小学生以来だからわくわくするよ。


さぁ、廉の背後のほうの木にしたし、そんなにすぐには……。



「見つけた」

「えっ?」


頭上から声が聞こえて顔を上げる。

予想よりも早く目の前に現れた廉に驚く。


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