好きな人には好きになってもらいたいじゃん。

そんなわたしに視線を合わせるようにしゃがみこんだ。

至近距離で目が合う。



「早くない?」

「すぐ見つけられる」

「見てた?」

「見てなくてもわかるから見る必要ねぇよ」

「どうして……」

「胡桃のことならわかる」


わたしに手を伸ばして、サイドの髪を耳にかけた。

髪をよけてあらわになった頬を優しく撫でる。



「見つけてほしいからかくれんぼしたんだろ?」

「違うよ」

「だって俺、見つけちゃうよ。胡桃ならどこにいても見つけられる」

「悔しい……」

「諦めろ。ぜってぇ見つけるから」



ふっと笑った廉に、今日いちばん大きく心臓が音を立てた。

廉はぜったいにわたしを見つけてくれる。

わたしのことをわかってる。



「なんでわかるの?」

「愛の力」

「え、廉からそんなセリフ出るのは引く」

「笑えよ」


頬を撫でていた手がわたしの頬を潰した。

むっと唇が出てヒヨコみたいになる。


< 337 / 347 >

この作品をシェア

pagetop