好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



「……ちゅう、するの?」



この顔では恥ずかしいけど、廉がしたいならするよ。

いや、でもやっぱり、どうせするならかわいい顔でしたいかな。



「あーもうまじで胡桃さぁ……」

「な、なに……」

「すげぇかわいい」


まっすぐにわたしを見つめる視線が熱っぽい。

かくれんぼ失敗。
そしてちゅうでもないらしい。

勘違い恥ずかしいな。


見つからないように、人けがないところに来たからこの場にはふたりだけ。


青空の下の大きな木の下にふたりきり。


だれかの声は聞こえるも、すごく遠く。



「胡桃、すげぇかわいいよ」

「し、知ってる……」

「ん、だって俺のためにがんばってくれてるんだもんな」

「……うん」

「まじでかわいい」


ほら、甘さたっぷりのセリフ。

それこそ歯の浮くようなセリフじゃん。


いやな気はまったくしないけどね。

廉に言われるのは、すごくうれしいよ。


また、がんばろうって思える。


欲張りだからね、もっと言ってもらいたくなるんだ。



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