好きな人には好きになってもらいたいじゃん。

わたしの初恋はいっくんだもん。

この前まではいっくんだけが好きで、わたしの恋を邪魔する廉はきらいだった。


いじわるばっかりで優しくない廉はきらいだった。



でも、きらいがひっくり返ったら、もうそれは最強じゃない?

ぜんぶひっくるめて、好きにさせた廉はすごいんだよ。



「胡桃ももっと、俺を好きになって」



廉のお願い、聞いてあげてもいいよ。

たぶん言われなくても勝手にもっと好きになる。

けどさ、廉の思い通りにばっかりいくのはね。


いままでいじわるされてきた分、わたしだってちょっとくらいいじわるしたい。




「廉がもっと好きにさせてくれるんでしょ?」



いたずらに笑えば、廉も同じように笑った。



「まじでそういうとこだよ」



不意打ちでちゅっと音を立ててキスをされる。

触れたのは一瞬。

だけど、熱は急上昇。



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