好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
■かなわなかった初恋
―樹side―
廉とくるちゃんが付き合ったみたいだ。
それはふたりが付き合った日に気づいた。
廉があまりにも幸せそうだったから。
あぁ、ついにふたりは結ばれたんだなって思った。
僕は中学3年生くらいまで、くるちゃんのことが好きだった。
思わず見惚れてしまうほどのかわいさに、いつも明るくて周りを和ませる雰囲気をもった女の子。
そんな子が幼なじみとして隣にいたら、好きにならないほうがおかしい。
実際に、弟の廉もくるちゃんのことを好きになっている。
廉は不器用だからいじわるばかりして、くるちゃんをよく泣かせているけど。
だから、僕は泣かされたくるちゃんを慰める役目。
僕に泣きついてくるくるちゃんの頭を優しく撫でると、くるちゃんはいつも涙を拭いてかわいい笑顔を見せる。
そんな僕たちを廉は不機嫌そうに見ているんだ。
好きな子にどう接したらいいのかわかんないんだろう。
廉はばかだなぁ。