好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



いつも、わたしばっかりドキドキしてる。

このドキドキがいっくんにもうつればいいのに。



「いっくん、もう帰れるなら一緒に帰ろうよ」

「うん。いいよ」

「やった!」

「じゃあ着替えてくるから、ちょっと待っててね。どこかでご飯でも食べて帰ろうか」

「うん!!」



にこっとやわらかく微笑んだいっくんに、うれしさが抑えきれず笑顔で大きく頷いた。

一緒に帰るだけじゃなくて、ご飯も誘ってもらえた。


いっくんのタオルから手を離し、距離ができる。

でも、まだドキドキしている。



「あとでね」



まぶしいほどの笑顔で手を振り、部室のほうへ走って行ったいっくん。


……かわいすぎる。

いっくん、それはかわいいよ。


わざわざわたしのために走ってくれるなんて……!


内心きゅんきゅんしながら、いっくんが来るのを待つ。


自主練している人もいるし、遊んでいるらしい人もいる。





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