好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
いっくんはこの中で、サッカーをがんばっているんだなぁ。
と、サッカー部の人を見てから、お母さんに今日はご飯いらないことをメッセージで送る。
「……胡桃ちゃん?」
送信してスマホをブレザーのポケットに入れたとき、名前を呼ばれて条件反射で顔を上げてそちらを向いた。
だれの声とか意識していなかったから、名前を呼んだ人物を見て驚く。
そしてすぐに、顔が引きつったのが自分でもわかった。
「姫野先輩……」
「胡桃ちゃんだ。部活でしか会えないから、会えてうれしい~」
少しテンション高めにわたしの目の前まで来る姫野先輩。
やばい。
と思った。
ここで、いっくんが戻ってきたら困る。
そう女の勘が言っている。
話を膨らませるわけにはいかない。
悪いけど、早く姫野先輩をここから遠ざけたい。
「お疲れ様です」
「お疲れ様。胡桃ちゃんはなにしてたの?」
「図書室で課題を……」
「えぇ!すごい!私も見習わなきゃ」