好きな人には好きになってもらいたいじゃん。




「あの、わたしもう帰り……」

「くるちゃんお待たせ」



帰ると伝えれば姫野先輩も帰るんじゃないかと思った。

でも、それより早く、わたし的にいちばん最悪な事態になってしまった。



「折原くん?」

「え、あれ?姫野さんがどうして……」



しっかり制服を着ているいっくんの顔がほんのり色づく。

……最悪だ。


女の勘って当たるんだよ。

避けられないんだね。




「胡桃ちゃんと話してたんだけど……えっと、折原くんと胡桃ちゃんも知り合い、なの?」

「うん。くるちゃんは僕の幼なじみ」

「あ!じゃあ、今日クラスで話してた折原くんのかわいい幼なじみって胡桃ちゃんのことなんだ!」

「そうだよ。って、あいつらうるさかったよな。ずっと騒いでたし」

「そりゃ騒ぐよ。胡桃ちゃんみたいなかわいい子なら納得」



え、なに?

なんの話をしているの?


クラスでのこととか、わたしにはわかんないよ。





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