好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「廉?」
「胡桃は俺が連れて帰るから、お前らはご飯でも行っとけよ」
「え、でも……」
「行くぞ、胡桃」
わたしの肩に手を回し、強引に歩かせる廉。
ちょっと、待って。
え、さっきまでいっくんの手だったのに。
なんで廉がわたしの肩に手を回してるの?
「れっ……」
怒りにまかせて名前を呼ぼうとしたけど、いっくんと姫野先輩がいるからすぐに飲み込んだ。
廉を見上げればわたしのほうなんて見てなくて、ぐいぐい押して無理やり歩かせる。
「ちょ、廉!くるちゃんは体調が……」
「ふっ」
「なに笑ってるの」
「べつに。行くぞ」
いっくんが廉の肩をつかんで止めようとするけど、廉は鼻で笑うだけ。
そのままわたしの肩に手を回したまま歩いて、この場を離れた。
「……最悪」
「下手な演技してんなよ」
「最低」
「どっちが。どうせ仮病だろ」