好きな人には好きになってもらいたいじゃん。





……しんどいのはほんとだもん。

いっくんと姫野先輩がふたりだけの世界で、ピンクな雰囲気を出しながら話しているのを見るのしんどいんだよ。


胸がくるしくなったんだよ。



「……しんどい」

「そうかよ」

「手、離して」

「しんどいやつをほっとけねぇな。倒れられても困るし」

「…………」



自分で言った手前、これ以上言い返す言葉はなかった。

仕方なく廉に肩を抱かれた状態で歩く。




「……なんで邪魔したの」



せっかく、いっくんとふたりで帰れると思ったのに。

なんとかして、またいっくんとふたりになれるチャンスをつくったのに。




「邪魔してるのはお前だろ」

「はい?」

「樹とあの女の邪魔してんだろ」

「邪魔してきたのは姫野先輩のほうだし」

「邪魔ばっかしてんなよ」



わたしといっくんの間に入ってきた。


姫野先輩のほうが邪魔してるんだよ。

あと、廉ね。





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