好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
ご飯は行けなくても、いっくんと一緒に帰れるチャンスだったのに。
突然の廉の登場に少し戸惑っていたけど、だんだんと状況がつかめてくる。
それと同時に怒りが爆発する。
「……廉のばか」
「なんだよ」
「……本当に最悪。最低。だいっきらい」
「そうかよ」
「あほ……」
「怒んなよ」
廉の手を思いきり振り払ってから文句を言う。
けどすぐに、そんなわたしの手首をつかんで止められた。
振り返ってキッと睨んでも、廉は表情を変えずまっすぐな瞳を向けてくる。
「怒んなって」
もう一度そう言う廉は、わたしが最高潮に怒ったときの反応を知っているから。
いま、怒りは最高潮。
「だれのせいだと思ってんの」
「胡桃が樹の邪魔するから悪いんだろ」
「廉はいっくんを応援してるわけ?」
「あいつらが付き合えばいいと思ってるよ」