好きな人には好きになってもらいたいじゃん。

廉のセリフに驚いて目を見開く。

だって、廉がそう言うなんて思ってなかった。


いっくんと仲良いわけでもないし。


なにより、わたしがいっくんのことを好きなのを知っているのに、そんなことを言うなんて……。




「……いじわる。だから廉のこときらいなんだよ」



廉はいつもいじわるばっかり。

わたしといっくんの邪魔ばかり。


わたしのことを応援してくれない。


廉は昔からそうだ。

そういうところ、きらいだよ。


廉が昔からこうだから、わたしはいっくんに恋をしたんだ。




「……仕方ないだろ」

「なに？」

「べつに」

「ほんと最低」

「樹とあの女からしたら、胡桃が最低だろ」

「……だとしても、いやなんだもん」

「は？」

「好きな人には好きになってもらいたいじゃん」



わたしはそのためにがんばってるんだよ。

好きな人には好きになってもらいたい。


ただ、それだけだよ。