好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
だから、男子がドキッとする女性の仕草を研究するし、メイクやダイエットだってがんばるし、あざとくてもかわいくアピールする。
自分をつくってでも、好きになってもらいたい相手がいるから。
この気持ちだけは譲れないんだもん。
なにがあっても、譲りたくないんだもん。
好きな人がわたしのことを見ていなくても、簡単に諦められるようなものじゃない。
「………………そんなの、俺だって……」
「今回のことはさすがに怒ってるから」
廉がなにか言っていたけど、気にしてあげる気分にもならない。
つかまれた手首を抜き取り、廉を睨んで歩き出した。
わたしは好きな人に好きになってもらいたいだけ。
それのなにが悪いの?
好きな人が幸せならいいなんて、きれいごとみたいなこと、わたしは思えない。
なにがなんでも実らせたい。
それがわたしの恋だから。
ぜったいに譲らない。
ぜったいに、いっくんに好きになってもらうんだ。