好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「行こっか」
「うん」
いっくんの声に頷く。
そのときにはもう、わたしの隣に廉が並んでいた。
いっくんは必ず廉が出てくるのを待つ。
わたしはいっくんとふたりで登校したいけど、廉が来るまで動かないから仕方がない。
いっくんは優しいもん。
廉が反抗期か知らないけどツンツンしていても、いっくんは兄弟だから仲良くしようとしているんだ。
そんないっくんも好きだけど。
「廉、今日委員会あるよ」
「…………」
「部活もあるからね」
「…………」
いっくんに話しかけられても無視をする廉。
こういうところがだめなんだよ。
廉の悪いところ。
「返事くらいしなよ」
「うっせぇ」
「なんでそこは言い返すの!?」
いっくんの言葉は無視して、わたしの言葉には反抗的に返してきて。
ほんと廉は意味わかんない。
いっくんがいなかったら、ぜったいに手が出てた。