好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
拳が飛ぶところだったよ。
危ない危ない……。
「じゃあ、ふたりとも放課後に」
「うん!」
廉にイライラしてもいっくんがいるからすぐに癒される。
あっという間に学校へ着いてしまい、少し寂しい。
もう少し、学校まで遠くてもいいのにね。
けど、今日は放課後に会えるんだ。
いっくんに笑顔で手を振る。
今日はまだいっくんに会えるとわかっているだけで、1日がんばれそう。
いっくんが見えなくなってから手を下ろす。
そしてすぐに教室に向かう。
「二重人格かよ」
「…………」
「よくそんな顔つくれるな」
「…………」
「返事しろって俺に言ったくせに、胡桃はしないじゃん」
「……うるさいなぁ」
廉を睨むように見れば、廉もわたしを見ていたみたいですぐに目が合う。
まっすぐな視線がわたしをとらえて、思わずドキッとした。
すべてを見透かしたような瞳。