好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
まるで心の中を覗かれているみたい。
そんな瞳から逃げるように自分から視線を逸らした。
「教室行くよ」
一度止めた足を再び動かす。
廉に声をかけたのは、これ以上なにも言われたくないから。
無視したらまた突っかかってくることはわかっていたから。
「あぁ」
返事をした廉がわたしの隣に並んで歩き、一緒に教室に入った。
「廉、聞いてくれよ!!」
「おいっ」
「あ、月島おはよう!廉借りるな」
「おはよう。どうぞ持ってって」
「さんきゅ」
教室に入るなり、町田くんが勢いよく廉の肩に手を回す。
いやそうな顔をした廉だけど、町田くんもわたしも気にしない。
廉と町田くんに軽く手を振って、わたしは自分の席にカバンを置いてからかほちんの元へ。