好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
座る場所は学年ごとに列で決められていて、2組のわたしたちは窓側の前から2列目だった。
廉と並んで座る。
いっくんはまだ来ていないみたいだ。
まだかな?
頬杖をついて、いっくんが来るのをわくわくしながら待つ。
どんどん教室に人が集まって来るけど、まだ来ない。
早くいっくんに会いたいな。
「だらしない顔してんなよ」
「してないし」
「してるだろ」
「してない」
いっくんのことで頭がいっぱいなわたしに、失礼なことを言ってくる廉。
いちいちなにか文句言わなきゃ生きていけないの?
わたしのことばっかり貶してきてさ。
ほっといてほしいよ。
「ふんっ」
思いっきり廉から顔を逸らしたとき、バタバタと慌ただしい足音が聞こえてきた。
「すみません、遅くなりました!」
その声にはじかれるように、廉から逸らした顔をドアのほうへ向けた。