好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



なにも考えずに、ただいっくんの近くにゆっくりと歩いていく。




「っ、」

「おっと、くるちゃん!?大丈夫?」

「あ、はは……ぼーっとしてた」

「この前も体調良くなかったし、また軽い熱中症かな?」



どうすればいっくんがこっちを見てくれるかわからなかった。

だから、そのままいっくんに軽くぶつかる。



そんなわたしを受け止めてくれたいっくん。


やっと、姫野先輩じゃなくてわたしを瞳に映してくれた。




「ん、大丈夫だよ」



わたしのおでこへと手を伸ばすいっくんに、無理やりつくった笑顔を向ける。


いっくんのあったかくて優しい手が好き。

いっくんのまっすぐできれいな瞳が好き。



いっくんのことがこんなに好きなのに……。




「くるちゃん?」



おでこからゆっくりと手を撫でるように下ろしてわたしの頬に触れる。





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