好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



「髪伸びたね。くくってないのも久しぶりに見た。ストレートかわいい」

「いっくんはくくってないほうが好き?」

「んー、どっちも好きだよ。いまみたいな自然なのも、くるちゃんががんばって巻いたりくくったりアレンジしてるのも」



パーフェクトな答えに胸がきゅんとなる。

でも、それじゃだめだ。


いまがチャンスだから聞きたい。



「いっくんが女の子でいちばん好きな髪型は?」



腕を緩めて体を離し、いっくんを見上げる。

そんなわたしにいっくんは再び視線を逸らす。



「似合ってたらなんでも。その子がしたい髪型がいちばんかわいいと思うよ」



それじゃ意味ないよ……。

でも、いっくんが言うなら仕方がない。



「じゃあ、いっくんの好きなタイプは?」

「タイプ?」

「どんな女の子が好き?」


真剣に見つめるも、いっくんはわたしと目を合わせてくれない。





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