好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
でも、鈍感ないっくんは気づかないよね。
わたしも伝えたくなったけど、告白としては言えなかったからおたがいさま、ってことにしといてあげる。
「あ、電話だ。ごめん、出るね」
「どうぞ」
わたしの返事を聞いて、ポケットから出したスマホをスライドさせて耳に当てる。
「わかった。戻るよ」
短い返事だけで通話は終わったみたいで、スマホをポケットに戻す。
「もう夕食だから家に戻るね。今日はいきなり来てごめんね」
「ううん、今日はありがとう。いっくんのおかげで元気出たよ」
「僕もくるちゃんが元気になったならよかった。じゃ、また明日ね」
「玄関まで送るよ」
そう言って、いっくんと一緒に階段を下りて玄関まで行く。
もっと一緒にいたかったな。
「本当にありがとう。またいつでも来てね。スピードしよ」
「久しぶりに勝負だね。また来るね」
「ぜったい!」