好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「くるたん、そこは時計回りにぐるっと動かすの」
「え、こう?」
「違う。こう!」
かほちんはひとりひとりを見ながら、丁寧に教えてくれる。
ステージの上で恥ずかしいダンスをするわけにはいかないから、わたしたちも気合いが入っている。
がんばるぞ。
「胡桃ちゃん、ここの振りってどうだっけ?」
「ここは、こうじゃないかな?」
「あ、そうだ。こうしてこう」
「そうそう!」
お互いに見せあって教えあって、なんとか振りを覚えていく。
かほちんみたいに的確に説明はできないけど、ダンス未経験メンバーは身振り手振りで教えあう。
なんとか今日のノルマは達成したところで、チャイムが鳴った。
「じゃあ、続きはまた明日」
クラス出し物の練習は終わり。
つぎは文化委員のほうだ。
「胡桃、行くぞ」