好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
手を口元に当ててばかにしたように笑うと、でこぴんをされた。
痛くて口元に当てた手をおでこへと移動させる。
「暴力反対」
「うっせぇ」
「ブラコン」
「もっかいやるぞ」
廉が再びでこぴんをしようと、手を上げるからすぐに身を引く。
ほんといっくんとは大違い。
もっと優しくしてくれたらいいのにね。
だから廉はいやなんだ。
「廉。くるちゃんをいじめるなよ」
そこでいっくんの声が聞こえて、廉から視線をすぐにいっくんへ向ける。
ジャージ姿のいっくんにきゅんと胸が音を立てた。
いっくんかっこいい。
「いじめてねぇよ」
「いっくん~!廉がでこぴんしてきたぁ」
「えぇ!?ひどい。廉、くるちゃんに謝って」
いっくんはわたしに駆け寄るとおでこを見てくれる。
「少し赤くなってるね」
優しく指で撫でてくれる。
うれしいけど、顔が近くて照れちゃう。