好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「ごめんね。だれにでもこうだから気にしないで」
「ううん、大丈夫。折原くんの弟くんって教えてもらえてうれしい」
「似てないでしょ」
「うーん、たしかにあんまり見た目は似てないかも?」
「僕が父さん似で廉は母さん似だから」
「へぇ、そうなんだね」
姫野先輩と話すからか、もうわたしのことは見ていない。
わたしのほうが近くにいるはずなのに。
まだいっくんのシャツは握ったままなのに。
「ふたり兄弟?」
「そうだよ。でも、くるちゃんと家が隣でずっと一緒だから、弟と妹がいるみたいでふたり兄弟って感じもしなかったなぁ」
「ずっと仲良しなんだね。いいなぁ」
…………妹、かぁ。
いっくんにとったら、わたしはそんな存在なんだね。
わかってたけど、だからこそそれを壊すためにがんばってきたんだけどな。
まだまだいっくんの中のわたしは、妹から抜け出せてないんだね。