好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
腹立たしく思っていると、ぽかんと口を開ける姫野先輩と目が合う。
そこでハッとした。
思わず熱くなってしまった。
姫野先輩をかばうつもりなんてなかったのに。
けど、心ない言葉で傷つけられている女の子を見るのは、なんだか悲しかった。
わたしだってがんばっているから、そのがんばりを見れないような人に傷つけられるのは悔しい。
「あ、はは……すみません。先輩が気になってた男の子のことを悪く言っちゃって……でも、こういうの許せなくて、ついむかついちゃいました」
変な空気になっちゃったから、笑って誤魔化そうとする。
けど、誤魔化すのも腹立たしいな。
これ以上口を開くと、もっと言いすぎちゃいそうになるから唇を強く結ぶ。
「ふふっ、胡桃ちゃんってかっこいいね。また好きになっちゃった」
優しく微笑む姫野先輩。
その表情はすごく女の子。