愛しくて、苦しくて、綺麗で。
雪。
あなたはマスクを外さなかった。
ニコニコと笑いながら、素顔を隠していた。
その瞳に、笑顔に。簡単に恋をした。

私が私でいられなくなるほどに。


高校三年生の春、本当に風に包まれたようにあなたしか見えなくなるだなんて。


「同情を引いて、付き合ってもらって。
 おまえそんなんで嬉しい訳?」

一度だけ抱きしめてと図々しく縋った私にあなたは唾を吐くように口にした。

曖昧な関係って、そう長くは続かないんだわってね。証明されるのに時間はかからなかったよ。
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