男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
「獣人には、人族にはない特別な力があるのですよ」
「魔術、だっけ?」
「ええ、そうです。人族が魔術を使う時は詠唱や魔法陣が必要不可欠ですが……僕たちは、いつでも好きな時に使えます」
「すごいの? それは」
「さぁ、どうでしょう。少なくとも今は、便利だと思いますね」
チラリ、とノージーの視線が先ほどの女性二人組の方を向く。その瞬間、女性たちが叫び声を上げ、ピケは飛び上がらんばかりに驚いた。
「なに⁈」
確認しようと、ピケは女性たちの視線から隠すように立っていたノージーを押し除けた。
しかし、彼は動かない。それどころか軽々と抱き上げられて、回れ右させられる。
「ふふ。ピケは見なくても良いことですよ。さぁ、行きましょうか。ああ、彼女たちのことはお気になさらず。口は災いのもと、という言葉を教えてあげただけですから」
「どういうことなの、それは!」
「さぁて……ふふふ……」
不穏な空気を察知して、ピケは押し黙る。
借りてきた猫のようにおとなしくなったピケの手を引き、ノージーは機嫌が良さそうに目を細めながら、その場を後にしたのだった。
「魔術、だっけ?」
「ええ、そうです。人族が魔術を使う時は詠唱や魔法陣が必要不可欠ですが……僕たちは、いつでも好きな時に使えます」
「すごいの? それは」
「さぁ、どうでしょう。少なくとも今は、便利だと思いますね」
チラリ、とノージーの視線が先ほどの女性二人組の方を向く。その瞬間、女性たちが叫び声を上げ、ピケは飛び上がらんばかりに驚いた。
「なに⁈」
確認しようと、ピケは女性たちの視線から隠すように立っていたノージーを押し除けた。
しかし、彼は動かない。それどころか軽々と抱き上げられて、回れ右させられる。
「ふふ。ピケは見なくても良いことですよ。さぁ、行きましょうか。ああ、彼女たちのことはお気になさらず。口は災いのもと、という言葉を教えてあげただけですから」
「どういうことなの、それは!」
「さぁて……ふふふ……」
不穏な空気を察知して、ピケは押し黙る。
借りてきた猫のようにおとなしくなったピケの手を引き、ノージーは機嫌が良さそうに目を細めながら、その場を後にしたのだった。