男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
3
「あらまぁ……それで、それからどうしたのです?」
鏡越しに目をきらめかせ、ドレッサーの椅子から身を乗り出さんばかりにこちらを見てくるイネスに、ノージーはこれみよがしに深いため息を吐いた。
イネスの自室の、鏡台の前。ノージーは彼女の髪を結いながら、尋問されている。
彼にしてはわかりやすく落ち込んでいる様子に、イネスはクツクツと笑う。普段すました顔をしている人のわかりやすい態度というのは、実に滑稽で面白い。
ニヤニヤともの言いたげに笑う彼女に、ノージーは半眼でじっとりと睨め付けた。
「どうもこうもありませんよ。手を出せるような雰囲気ではありませんでしたから」
スパッとした物言いは、これ以上話したくないと言っているようだ。
だが、イネスはお構いなし。両手で唇を隠しながら、それでもわかるくらいニマニマと意地悪く笑う。
「あら、どうして? 深夜に若い男女が二人きり。そんな雰囲気になって然るべきでしょう?」
しれっと言っているが、イネスの胸は高鳴っている。
獣人であるノージーの耳には、うるさいほどだ。
きっと、よからぬ妄想でもしているのだろう。
鏡越しに目をきらめかせ、ドレッサーの椅子から身を乗り出さんばかりにこちらを見てくるイネスに、ノージーはこれみよがしに深いため息を吐いた。
イネスの自室の、鏡台の前。ノージーは彼女の髪を結いながら、尋問されている。
彼にしてはわかりやすく落ち込んでいる様子に、イネスはクツクツと笑う。普段すました顔をしている人のわかりやすい態度というのは、実に滑稽で面白い。
ニヤニヤともの言いたげに笑う彼女に、ノージーは半眼でじっとりと睨め付けた。
「どうもこうもありませんよ。手を出せるような雰囲気ではありませんでしたから」
スパッとした物言いは、これ以上話したくないと言っているようだ。
だが、イネスはお構いなし。両手で唇を隠しながら、それでもわかるくらいニマニマと意地悪く笑う。
「あら、どうして? 深夜に若い男女が二人きり。そんな雰囲気になって然るべきでしょう?」
しれっと言っているが、イネスの胸は高鳴っている。
獣人であるノージーの耳には、うるさいほどだ。
きっと、よからぬ妄想でもしているのだろう。