男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
5
「目をつけていた、だと……?」
冷たい声が、静かに発せられる。まるで、氷の刃のようだ。
耳に氷水を流し込まれたようなひやりとした錯覚を感じて、半ば放心状態になっていたピケの意識が急浮上する。
気づくとピケは、ノージーの腕の中。
やや前傾姿勢の状態で横抱きにされている格好は不安定になりそうなものだが、ピケの体はしっかりと支えられている。
嗅ぎ慣れた匂いと自分より高い体温を感じて、ピケは無意識に息を吐いた。
指先がピクンと動かせるようになってようやく、体の動かし方を思い出す。
そしてピケは、確かめるようにゆっくりと顔を上げた。
そこには、見たこともないくらい険しい顔をしたノージーがいた。
いつも落ち着きついた深い緑色をしている目が、今は瞳孔が開いて黒々としている。
眉間に皺が寄り、唇の隙間からは尖った牙が見え隠れしていた。
冷たい声が、静かに発せられる。まるで、氷の刃のようだ。
耳に氷水を流し込まれたようなひやりとした錯覚を感じて、半ば放心状態になっていたピケの意識が急浮上する。
気づくとピケは、ノージーの腕の中。
やや前傾姿勢の状態で横抱きにされている格好は不安定になりそうなものだが、ピケの体はしっかりと支えられている。
嗅ぎ慣れた匂いと自分より高い体温を感じて、ピケは無意識に息を吐いた。
指先がピクンと動かせるようになってようやく、体の動かし方を思い出す。
そしてピケは、確かめるようにゆっくりと顔を上げた。
そこには、見たこともないくらい険しい顔をしたノージーがいた。
いつも落ち着きついた深い緑色をしている目が、今は瞳孔が開いて黒々としている。
眉間に皺が寄り、唇の隙間からは尖った牙が見え隠れしていた。