男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
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「一体、どういうことですの……?」
読み終えたばかりの手紙を見つめながら、イネスはつぶやいた。
眉は吊り上がり、唇の端は歪み、苛立っているように見える。
手紙を持ってきたキリルは、向かいのソファへ腰掛けて、その様子をじっと見ていた。
いや、見ていたなんてものじゃない。イネスの表情、態度、あらゆるものから何かを読み取ろうとするかのように、険しい顔で観察している。
いつものキリルなら、目をキラキラさせてイネスに熱視線を送っているはずだ。
好きだ、愛していると、言わずともわかるような好意を全身から立ち上らせて。
だけど今日の彼は、ピケが一度も見たことがない顔をしている。
まさに王族、次期国王にふさわしい貫禄とでも言おうか。
ピケが萎縮し、声も出せないほど、彼は厳かな雰囲気を身にまとっていた。
(なにがあったの……?)
ただ控えることしかできないピケには、どうなっているのかさっぱりわからない。
隣で同じように控えていたノージーにチラリと視線を送ったが、彼もまた、わからないと小さく首を振るだけだった。
読み終えたばかりの手紙を見つめながら、イネスはつぶやいた。
眉は吊り上がり、唇の端は歪み、苛立っているように見える。
手紙を持ってきたキリルは、向かいのソファへ腰掛けて、その様子をじっと見ていた。
いや、見ていたなんてものじゃない。イネスの表情、態度、あらゆるものから何かを読み取ろうとするかのように、険しい顔で観察している。
いつものキリルなら、目をキラキラさせてイネスに熱視線を送っているはずだ。
好きだ、愛していると、言わずともわかるような好意を全身から立ち上らせて。
だけど今日の彼は、ピケが一度も見たことがない顔をしている。
まさに王族、次期国王にふさわしい貫禄とでも言おうか。
ピケが萎縮し、声も出せないほど、彼は厳かな雰囲気を身にまとっていた。
(なにがあったの……?)
ただ控えることしかできないピケには、どうなっているのかさっぱりわからない。
隣で同じように控えていたノージーにチラリと視線を送ったが、彼もまた、わからないと小さく首を振るだけだった。