男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
「ああ、なるほど……まぁ、そうですよね。気づくわけ、ないか……」

 一人で納得して、なぜか悲しそうにため息を吐いている美女に、ピケはなにも悪くないはずなのに申し訳なさを感じた。

「ごめんなさい。困らせたいわけではないのです。こちらが勝手に期待していただけなので、ピケは悪くありません」

「でも……」

「本当に、ピケは悪くありませんから」

 真剣な目つきでしっかりと見据えられて、ピケは呼吸を忘れた。

(なんて綺麗な目なの……)

 自分と同じ色だと思ったことが恥ずかしく思えるくらい、透明感がある。まるで生まれたばかりの赤ちゃんの目のように、その目は澄んだ色をしていた。
 人は綺麗なものを見ると目が離せなくなるらしい。視線ってどうやって外すんだっけ? なんて思っていたピケは、美女から「わかった?」と尋ねられてようやく、ぎこちなく頷いた。
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