男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
「ところで……」
「はい?」
「その……服を、貸してもらえませんか? このままはちょっと……はずかしい、というか……」
あぐらをかいたまま、美女が恥ずかしそうに体を揺する。
揺れる髪の合間から胸が見え隠れして、ピケは同性同士だというのに心臓がキュッとなった。
「あっ、ああ、そうね! 服!」
しどろもどろで答えながら、ピケは周囲を見回す。
すぐ近くに自分のトランクを見つけて、急いで引き寄せた。
トランクから持っている中で一番上等な──唯一ツギハギがない──服を取り出し、差し出そうとして、戸惑う。
(待って。こんな美女に、こんな粗末な服を着せる方が罰当たりというものではないの……? いやでも、持っている中で一番上等なのがこれなわけだし、これ以上を出せと言われても出せないのが実情で……ああもう! どうしたらいいの!)
服を握り締めてワナワナと震えるピケに、美女が首をかしげる。それから困ったように苦笑いを浮かべながら、「ああ、またか」と口の中でつぶやいた。
「はい?」
「その……服を、貸してもらえませんか? このままはちょっと……はずかしい、というか……」
あぐらをかいたまま、美女が恥ずかしそうに体を揺する。
揺れる髪の合間から胸が見え隠れして、ピケは同性同士だというのに心臓がキュッとなった。
「あっ、ああ、そうね! 服!」
しどろもどろで答えながら、ピケは周囲を見回す。
すぐ近くに自分のトランクを見つけて、急いで引き寄せた。
トランクから持っている中で一番上等な──唯一ツギハギがない──服を取り出し、差し出そうとして、戸惑う。
(待って。こんな美女に、こんな粗末な服を着せる方が罰当たりというものではないの……? いやでも、持っている中で一番上等なのがこれなわけだし、これ以上を出せと言われても出せないのが実情で……ああもう! どうしたらいいの!)
服を握り締めてワナワナと震えるピケに、美女が首をかしげる。それから困ったように苦笑いを浮かべながら、「ああ、またか」と口の中でつぶやいた。