男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
ピケは、ノージーがしまりなくふにゃりと笑いかけるのが自分だけだと思うと、優越感を覚えるようになったのだ。
時折言い寄ってくる男たちを彼がぞんざいにあしらっているのを見ると、自分が特別なもののように思えてくる。
それは、ノージーから直接聞かされた告白と同じくらい、ピケを動揺させた。
(今まで自分を大事にしてこなかったわけではないけれど……ノージーと同じ上等な生き物になったような気になるのよね)
そんなことを思っている時に、ノージーからひどく大事そうに触れられると、もう駄目だった。
体は勝手にノージーに寄りかかるし、触れてくる指先に過剰に反応してしまう。
それだけでは足りなくて、「もっと」と言いそうになることもあった。
ピケは一体、どうなってしまったのだろう。
こんなことは初めてのことで、どうするのが正しいのかもわからない。
だけど、これだけはわかる。今のピケは絶対に「もっと」と言ってはいけない、と。
唇を噛んで言葉を飲み込むと、心配そうに表情を翳らせたノージーが顔を覗き込んでくる。あまりの近さに驚いて飛び上がると、なぜか自分の手が彼の服を摘んでいた──なんてことが日常になりつつある。恐るべきことに。
考えても考えても、答えにはたどりつかない。
勉強が苦手なピケが図書室へ行こうかと思うくらいには困っている。
イネスに相談することも考えなかったわけではないが、時期が悪すぎた。
時折言い寄ってくる男たちを彼がぞんざいにあしらっているのを見ると、自分が特別なもののように思えてくる。
それは、ノージーから直接聞かされた告白と同じくらい、ピケを動揺させた。
(今まで自分を大事にしてこなかったわけではないけれど……ノージーと同じ上等な生き物になったような気になるのよね)
そんなことを思っている時に、ノージーからひどく大事そうに触れられると、もう駄目だった。
体は勝手にノージーに寄りかかるし、触れてくる指先に過剰に反応してしまう。
それだけでは足りなくて、「もっと」と言いそうになることもあった。
ピケは一体、どうなってしまったのだろう。
こんなことは初めてのことで、どうするのが正しいのかもわからない。
だけど、これだけはわかる。今のピケは絶対に「もっと」と言ってはいけない、と。
唇を噛んで言葉を飲み込むと、心配そうに表情を翳らせたノージーが顔を覗き込んでくる。あまりの近さに驚いて飛び上がると、なぜか自分の手が彼の服を摘んでいた──なんてことが日常になりつつある。恐るべきことに。
考えても考えても、答えにはたどりつかない。
勉強が苦手なピケが図書室へ行こうかと思うくらいには困っている。
イネスに相談することも考えなかったわけではないが、時期が悪すぎた。