男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
 キリルの暗殺がことごとく失敗したのは、総司令官が有能なせいである。
 つまり、総司令官さえ関わらないようにすれば、万事うまくいくはず。
 総司令官のお気に入りであるピケがなんらかの手段を講じて──ガルニールは色仕掛けを示唆していたが、ノージー相手ならまだしも、ピケにハニートラップは無理がある──足止めさえできれば、ガルニールは悲願を達成できる。

 協力したピケに与えられる対価は、口をつぐんでいること。
 ピケもノージーも、イネスがアルチュールから連れてきた侍女として、ここにいることができる。

 だが、協力しなかった場合。
 この場合は、ピケとノージー、そしてイネスは王族を騙した罪に問われる。
 特にピケとノージーを国王へ紹介したイネスは重罪だ。おそらく死刑だろうとガルニールは言っていた。

 ピケが協力しようがしまいが、イネスに未来はない。
 協力しなかった場合、ピケやノージーだって未来はないのだ。
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