男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
「かわいい服って言っても、いろいろあるしなぁ」

 ノージーとのおでかけでピケが学んだことは、彼はピケにかわいらしい格好をさせるのが好きだということだ。
 特に赤色や茶色のものを勧めてくる傾向があるのだが、おそらくその色がノージーの毛並みの色だからだろうとピケは思っている。

(緑の目はおそろいだから、それ以外も一緒にしたいのかも……)

 なんてかわいい猫だろう。
 けなげすぎて、頬擦りしたいくらいである。

 せっかく恋人になるのなら、おそろいでコーディネートするのも良いかもしれない。
 ノージーはユニセックスな格好が似合うけど、たまには恋人同士みたいに見えるような格好をしてもらいたいと思う。
 ふと、ピケの目に男女のマネキンが飾られているショーウィンドウが映った。

「ああいうの、いいな」

 あの服を着て、腕を組んで歩いてみたい。
 淡い桃色は男の人にはかわいらしすぎるかもしれないけれど、きっとノージーなら着こなせるはずだ。
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