男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
支給された軍服をぴっちり着こなしている姿しか見たことがなかったピケは、あまりのラフさに別人なんじゃないかと目を疑う。
事実、総司令官様が王都を歩いているというのに、誰一人として騒いでいなかった。
シャツにパンツに、モフモフがついたフード付きのコート。
ちょっとそこまでくらいの気持ちで歩いていたのか、いつもしっかりセットされている黒髪は洗いたてみたいにおろされている。長めの前髪がキリリとした眉を覆い隠すと、年齢がグッと下がって見えた。
「⁈⁈」
「この店に入るつもりだったのか? なら、遠慮せずに入ればいい」
落ちた木の実を回収している時に、肉食獣に見つかったことに気がついたリス。
目をまん丸にして停止しているピケの背を、アドリアンが押す。
訓練の時の情け容赦ない態度しか知らなかったピケは、店の中へ突き飛ばされるのではないかと思って目を閉じた。
しかし、ピケの予想に反してアドリアンは紳士的だった。
やんわりと背中を押され、アドリアンのエスコートで入った店は、ピケが気後れするような高級カフェ。
キラキラの天井に、ピカピカの床、聞こえてくる音楽はヴァイオリンの生演奏だろうか。
事実、総司令官様が王都を歩いているというのに、誰一人として騒いでいなかった。
シャツにパンツに、モフモフがついたフード付きのコート。
ちょっとそこまでくらいの気持ちで歩いていたのか、いつもしっかりセットされている黒髪は洗いたてみたいにおろされている。長めの前髪がキリリとした眉を覆い隠すと、年齢がグッと下がって見えた。
「⁈⁈」
「この店に入るつもりだったのか? なら、遠慮せずに入ればいい」
落ちた木の実を回収している時に、肉食獣に見つかったことに気がついたリス。
目をまん丸にして停止しているピケの背を、アドリアンが押す。
訓練の時の情け容赦ない態度しか知らなかったピケは、店の中へ突き飛ばされるのではないかと思って目を閉じた。
しかし、ピケの予想に反してアドリアンは紳士的だった。
やんわりと背中を押され、アドリアンのエスコートで入った店は、ピケが気後れするような高級カフェ。
キラキラの天井に、ピカピカの床、聞こえてくる音楽はヴァイオリンの生演奏だろうか。