男嫌いな侍女は女装獣人に溺愛されている
2
ピケが総司令官と高級カフェへ入店した頃、王城では静かに事が運ばれようとしていた。
「あなたは獣人だから万が一もないでしょうけれど……ピケのためにも、傷一つ作ってきては駄目よ」
不安いっぱいの顔をしたイネスの背中を、キリルが大事そうに抱えている。
いつもならばくっついた途端に甘い空気を散布しだす二人も、この時ばかりは弁えているようだった。
「わかっています。キリル様、イネス様をよろしくお願いいたします」
「ああ、任せろ」
腰にはいた剣をポンとたたいたキリルに頷きを返し、ノージーは部屋を後にする。
冷静そうに見えるが、彼は静かに怒っていた。
「あなたは獣人だから万が一もないでしょうけれど……ピケのためにも、傷一つ作ってきては駄目よ」
不安いっぱいの顔をしたイネスの背中を、キリルが大事そうに抱えている。
いつもならばくっついた途端に甘い空気を散布しだす二人も、この時ばかりは弁えているようだった。
「わかっています。キリル様、イネス様をよろしくお願いいたします」
「ああ、任せろ」
腰にはいた剣をポンとたたいたキリルに頷きを返し、ノージーは部屋を後にする。
冷静そうに見えるが、彼は静かに怒っていた。